私たちの思い

「こんなことを人に頼んでは、申し訳ない。恥ずかしい。」

そうやって問題を先送りしたために、大変なことになってしまった経験はありませんか?

我慢を美徳としてきた日本の文化や行き過ぎた競争社会が、人口減少・高齢化が著しい山村では、問題を深刻化させてしまう要因になることがあります。

「ちょっと助けとくれん」と気軽に言い合えるコミュニティを取り戻したい。そのために、有償ボランティアの仕組み「しきしま支え合いシステム」とその拠点となる「しきしまの家」を整備しました。

お年寄りから子どもまで、誰もが集えるみんなの居場所「しきしまの家」は、住民の拠点であるだけでなく、しきしまをフィールドとして活動する森林ボランティアやNPO、企業、移住希望者などの交流・情報拠点ともなります。

ありのままで、安心して暮らせる「しきしま」を次の世代につなぐ私たち敷島自治区の新たな挑戦「しきしまの家」の取組みは、同じ課題を抱える全国の山村に勇気と希望をもたらすプロジェクトになると確信しています。是非、応援してください。

ご支援のお願い

支援の形は問いません。移住、サポート区民登録(システム検討中)、支え合いシステムの支援者登録、物品や技術の提供、お金の寄付など、あなたができる支援をいつでも受け付けています。

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「ちょっと助けとくれん」と気軽に言い合える地域に

かつての農村社会にあった、結(ゆい)。

近くの家どうしがお互い様の関係でつながる共同体中心の社会では、田植えや農作業で支え合い、助け合うことは「当たり前のこと」でした。山村の暮らしは集落と共にあり、皆で支え合わなければ生きていけない時代だったからです。

結による田植え(昭和40年代・押井町)

戦後の高度経済成長とともに、産業の中心は農林業から工業・商業へと移り変わります。誰もが経済的な豊かさを求めて学び、働き、懸命に努力して、今日の社会を築き上げました。そしてそれは副作用として、地域にあった「結」をはじめとする共同体のつながり、支え合いの力を弱めることとなりました。

社会において「努力が適切に報われる」べきであることは、言うまでもありません。しかし行き過ぎた競争社会は、かつて支え合いによって解決できていたことを「個人の問題」「家庭の問題」「自己責任」として封じ込めてしまったのです。

2019年に自治区で行った「私と家族の将来像アンケート」では、わずか10年後に、自治区内の9集落のうち杉本町、榊野町を除く7集落が、いわゆる「限界集落」(無住化に向かう集落)になるというショッキングな結果が示されました。

また、今後急激に進行する人口減少・高齢化とともに「世帯の単身化」の進行が人口問題をより深刻化させます。国立社会保障・人口問題研究所は、2040年には、総世帯に占める単身世帯の割合が4割を超えると推計しています。

元気な地域とされる敷島自治区でも、人口減少・高齢化はさらに進行し、高齢者の一人暮らし世帯の増加を伴って限界化が進行し、社会的孤立化やこれまで町内会でできていたことが満足にできなくなる集落も生まれてきます。

私たち敷島自治区は、町内会を超えて「ちょっと助けとくれん」と気軽に言い合えるかつての山村に、普通にあった関係性を取り戻すことで、人口減少・高齢化社会においても、誰もが自分らしく、安心して暮らし続けられる地域ができると考えました。

しきしま支え合いシステム

しきしま支え合いシステム」は、困りごとを抱えるしきしまの人や世帯を、元気な高齢者やスキルのある住民、地域外の支援者が、有償ボランティアで支える仕組みです。

「しきしま・ときめきプラン2020」で構想されたシステムイメージ

その内容は、敷島自治区の将来ビジョン「しきしま・ときめきプラン2020」に定められた重点プロジェクト「支え合い社会創造プロジェクト」の中心事業として構想されました。

  • 急斜面の草刈り
  • 家屋に迫る竹やぶの伐採
  • 雨どいの清掃
  • 獣害防除柵の設置
  • 玄米の蔵への収納

こういった田舎ならではの仕事は、多くは体力が必要であり、時には大きな怪我のリスクを伴います。ですので元気なうちは自分でできていた人も、加齢とともにできなくなります。歯がゆいですが、やむを得ないことです。

また、これらの仕事を代行してくれるサービスというのは既に数多くあり、折り込み広告などを通じてアクセスすることができます。しかし、知らない業者やお得な広告文句には一抹の不安があるため、つい相談を先送りしてしまうケースが多いのです。

もし、身近なところに、いつでも気軽に困りごとを相談でき、信頼のおける専門家やボランティアにつないでくれる常設の窓口があったとしたらどうでしょう? これまで相談をためらっていた人でも、ちょっと話してみようかなと思えるのではないでしょうか。

そして、これまで人のお手伝いをすることがなかった元気な高齢者が、支える側に立つことも極めて重要です。相応の謝礼を受け取り、頼られることが元気につながりますし、逆に助けが必要になったときに「ちょっと助けとくれん」と気軽に言えるようになります。

また、「草刈りはお願いするけど、漬物づくりなら教えてあげられる」という高齢者もいます。「支えられる人」とレッテルを貼るのではなく、持てる能力で「支える人」でもあり続けることが健康を保ち幸福な人生を送ることにつながります。

「しきしま支え合いシステム」は、多様な価値観を認め支え合うことで身近な課題を解決し、美しい農村景観を守り、移住者や山村に関心を持つ人々を呼び込み、人口が減り、高齢化が進む社会であっても、ポジティブに幸せに生きるための仕組みとなります。

「困りごとアンケート」で分かったこと

2021年1月、しきしま支え合いシステムのプロジェクトチームは、敷島自治区における困りごとの実態調査を実施。中学生以上の全住民に、「困っていること」、「お手伝いできること」をそれぞれ尋ねました。

結果、80%を超える住民の皆さんから回答を得ることができました。この調査の結果分かったことは、下記の3つです。

  1. 困りごとは、田畑の管理、草刈り、鳥獣害に集中している
  2. それぞれの困りごとに対して「お手伝いできる人」がほぼ同数いる
  3. 子育て世代を中心に「たまり場」への期待が大きい

2 は、「困っている人」と「お手伝いできる人」を上手につなぐことができれば、地域内にある多くの「困りごと」を自分たちの手で解決できるということに他なりません。

3は、具体的には「子どもの遊び場」「運動できる場所・施設」「みんなが気兼ねなく集える喫茶」「コインランドリー」などが要望として挙がりました。

また、高所作業や大型のごみ出し、機械や電気製品の修理、通信機器の設定や操作など、高齢社会やIT技術進展への戸惑いが、日常的な困りごととして浮き彫りになりました。

「しきしまの家」の活用に向けて

わたしたちは、しきしま支え合いシステムを運用する事務局の拠点として、そして要望の多かった「たまり場」を作る場所として、理想的な立地にあり、かつ空き物件となっていた旧杉本保育所を改修、活用しています。

「ちょっと助けて欲しい」、「こんなことならお手伝いできるかもしれない」と思ったときに、気軽に立ち寄り、あるいは電話ができる窓口が必要です。市役所や社会福祉協議会の支所などの公的機関よりも身近な生活圏にあり、顔の見える関係ができる「敷居の低い窓口」であることが必須です。

自治区住民や地域外の支援者が家族のようにつながり、「ただいま」とわが家のように気楽に寄り合える場所になって欲しいという願いを込めて、ここを「しきしまの家」と名付けました。

「しきしまの家」には、

  • 支え合いシステム事務局
  • 日常的な困りごと相談の窓口
  • 課題が深刻な農地保全の相談窓口

が設けられ、専門スタッフが常駐します。また、wi-fiも完備され、地域で活動するボランティアグループやNPO、社会貢献に取組む都市部の企業など「関係人口」と地域住民がつながるプラットホームとして活用されます。

そして、しきしまを移住先として考える人々が、初めて門をたたく家として、あるいは、地域づくり先進地の視察現場として活用されます。また、子どもたちが「何もしなくても居ていい場所」として、みんなの「したい」を実現する場所として、ママたちがちょっと「おしゃべりとお茶」をして解放される場所としても、活用されます。

週末に、1DAYシェフの居酒屋やビヤガーデンがオープンしたら、若者やおじさんにとっても愉快ないなか暮らしになるのではないでしょうか。

私たちのチャレンジを応援してください

2020年11月27日、敷島自治区は、全国の過疎地域における自立活性化の優良事例として、最高賞である総務大臣賞を受賞しました。

2020.11.27ホテルルポール麹町(東京)

空き家活用などによる過去10年間の敷島自治区への移住者が、UIターン合わせて40世帯、98人。加えて、民宿・菓子工房・助産院などのスモールビジネス起業や、有機農家の新規就農など、好循環を生んだことが評価されたものです。

私たちはこの成果に甘んじることなく、さらに移住者の受け入れを加速しつつ、多様な価値観を受け入れる「開かれた地域」として、新たなステップに挑んでいます。

「しきしまの家」の整備は、私たちの新たなチャレンジの始まりに過ぎません。まずは 2023年4月に、しきしまの家を暫定オープンしました。今後「支え合いシステム」の試行段階を経て経営を自立させ、2026年度には法人化を目指します。

私たちのチャレンジは、人口減少・高齢化が進んでも、多様な価値観を認め合い、住民同士、出身者や都市の人々、地域に関わる企業や団体と深くつながり支え合う関係性を築くことで、行政に過度に依存せず、自立した持続的な地域を創造することです。

そして、避けることのできない縮小していく社会を正面から受け止め、少人数の山村ならでは可能な、自由で自分らしい暮らし方、幸せの形を実践して見せることで、人々に生き方、暮らしの選択肢を提供することです。

私たちの取組みは、日本中の過疎山村に勇気と希望を与えるばかりでなく、都市におけるコミュニティのあり方にも大きなヒントをもたらす、地域経営、自治のモデルとなり、未来社会創造の足掛かりになると確信しています。

私たちが描くしきしまの未来、

それは、美しい田園風景のある里
それは、あるがままの自分で居られる里
それは、小さな生業が芽吹く里
それは、不安のない暮らしが続く里
それは、子どもたちの瞳が輝いている里
それは、お年寄りが笑顔で暮らす里
それは、しきしまを愛するすべての人々による、新たな自治が育まれる里
「しきしまの家」は、その実現に向けて人々が努力する場となり心の拠り所となる

「しきしまの家」から始まる未来社会創造へのチャレンジを、どうか応援してください。

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支援の形は問いません。移住、サポート区民登録(システム検討中)、支え合いシステムの支援者登録、物品や技術の提供、お金の寄付など、あなたができる支援をいつでも受け付けています。

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