日本の人口は、今から100年で3分の1、わずか4千万人台まで減少すると推計されています。
しきしまなど山村部の人口は、過疎に伴う人口減少が加わり、さらに深刻な状況に陥ります。敷島自治区内の9集落のうち7集落は、10年後に限界集落(無居住化に向かう集落)になります。
「縮んでいく社会に今以上の幸せを見つけよう」と、政治家の皆さんは言われません。拡大成長の時代を経験した多くの有権者が、過去の成功体験の呪縛から逃れられずにいるからなのでしょう。
私たちがこの現実から目をそらさず、真正面から向き合うことで、政治家も国の政策も大きく変わります。私たちが今なすべきことは、拡大成長を前提に構築された社会のありようをリセットして、未来を担う若者たちに委ねることではないでしょうか。
人口減少、高齢化は、避けられない
日本の総人口は、2004年をピークに、今後100年間で100年前(明治時代後半)の水準 に戻っていくと専門機関が推計しています。100年で3分の1というこの変化は、千年単位でみても類を見ない、極めて急激な減少とされています。
私たちが認識しなければならないのは、山村地域の人口は、「過疎」によって、さらに深刻な減少に晒されるということです。現在、人が居住する地域の内、2050年には2割が「無居住化」すると推計されています。
国土の4割を中山間地域が占めます。当然「無居住化」する地域は中山間地域になりますから、現在、人が居住する中山間地域の半分、2集落に1集落は、わずか30年後には「無居住化」すなわち消滅するということです。
ですから私たちは、「新しい資本主義」「成長戦略の実現」「成長と分配の好循環」などの国の政策に期待しつつも、国任せ、行政任せにするのではなく、私たちのできることで、人口減少、高齢化社会に向き合おうと決意したのです。
しきしまの人口減少、高齢化はどれほど深刻か
2019年に自治区で行った「私と家族の将来像アンケート」では、わずか10年後に、自治区内の9集落のうち杉本町、榊野町を除く7集落が、いわゆる「限界集落」(無居住化に向かう集落)になるというショッキングな結果が示されました。
また、今後急激に進行する人口減少・高齢化とともに「世帯の単身化」の進行が人口問題をより深刻化させます。国立社会保障・人口問題研究所は、2040年には、総世帯に占める単身世帯の割合が4割を超えると推計しています。
元気な地域とされる敷島自治区でも、人口減少・高齢化はさらに進行。高齢者の一人暮らし世帯の増加を伴って、限界化・社会的孤立化が進むでしょう。そして、これまで町内会でできていたことが満足にできなくなる集落も生まれてきます。
町内会を超えて「ちょっと助けとくれん」と気軽に言い合える、かつての山村に普通にあった関係性を取り戻す。そうすることで、人口減少・高齢化社会においても、誰もが自分らしく、安心して暮らし続けられる地域ができると、私たち敷島自治区は考えました。
未来は今より幸せになれるか
今後の社会を、「縮んでいく社会」「降りていく社会」と呼ぶ人もいます。地球環境を保全するため、人は、暮らしを見直し、自然への負荷を大幅に減らすことも求められるでしょう。縮小し、自制が求められる時代に幸せは見つけられるのでしょうか。
そもそも幸せとは何か、誰が決めるのでしょう? 心理学では、
- 感情的で一時的な幸せ = Happiness
- 身体的、精神的、社会的に良好な状態を持続する幸せ = Well-being
と、明確に分けて論じられます。
他者と比較して得られる優越は、「Happiness」でしかありません。長くは続かず、増やし続け、勝ち続けないと消えてしまうものです。
私たちが求める幸せは、「Well-being」に他なりません。「Well-being」は、比較するもののない普遍的な満足であり、他者とつながることで得られる安心感、感謝や慈悲といった「ヒト」特有の感情から生まれます。
人それぞれが違った「幸せのモノサシ」を持ち、それはその人だけが変えられるものだと思います。「しきしまの家」を中心に進められる「支え合いプロジェクト」は、人々が「幸せのモノサシ」を見つけ、変える手助けをしながら、新しい時代の地域社会の実現に向けて皆が努力する場となるでしょう。
そして、未来は、必ず今より幸せになれるに違いありません。
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