どうして田舎に暮らすことにこだわるの?

「なんでそんな、課題だらけの田舎なんかに暮らすことにこだわるんですか?」と聞かれることがあります。人によって答えは違うと思いますが、私の答えは「ここに暮らし続けることが、自分にとって最も心安らぎ幸せだと思うから」でしょうか。

敷島自治区の一集落である「東萩平町」は、28世帯のうち、半数の14世帯が10年以内の移住者です。

空き家を活用した定住対策に積極的に取り組んだことで、地域にある課題よりも、地域にある魅力のほうが勝った結果と言って良いでしょう。

また、豊田市の空き家情報バンク制度を活用した山村部への移住は、10年間でおよそ300世帯。その半数近くの従前の居住地は、豊田市の都市部と言われます。便利で、働く場所にも恵まれた「都市」での暮らしをやめ、わざわざ、不便で課題ばかりの「田舎」に移住されているのです。

地域にある課題と魅力を掘り下げると、明るい展望が見えてくる気がしませんか?

田舎の課題と魅力

田舎の課題は、主に下記の4つに大別されます。

  • 暮らしの質の低下
    └医療、教育、交通、買い物など
  • 地域経済の衰退
    └雇用、売上など
  • コミュニティ機能の低下
    └お祭りなどの催事、お役、組織の担い手など
  • 農地・森林の荒廃
    └耕作放棄地、過密人工林、獣害など

これらの多くは、人口減少、高齢化に伴う「過疎」によって引き起こされています。そして実は、これらはいずれ都市部においても深刻化する課題です。

「農地・森林の荒廃」は、一見、田舎固有の課題に見えますね。しかし、CO2の吸収、水源の涵養(かんよう)、災害のリスクなど、よく見ると「都市生活」というのは「山村の保全」によって担保されているということが分かります。

2000年 9月に発生した東海豪雨を教訓として、市域の約 7割を占める広大な森林を健全化する取り組みが進められた。 ※引用:豊田市森林保全ガイドライン

すなわち、山村の課題のすべてが、都市の課題でもある訳です。

一方、田舎の魅力は何でしょう? 豊田市が2019年に、山村への移住者を対象に行ったアンケ-トでは、移住先に縁故のない「Iターン移住」をした理由として、

  • 第1位「自然の多いところで暮らしたかったため」89.2%
  • 第2位「あたたかく受け入れてくれそうな地域であったため」47.7% ※複数回答

という結果でした。

しきしまに生まれ育った人、しきしまに移住を決断した人が、しきしまに暮らすことにこだわるのは、課題に勝る魅力があるから。その魅力「美しい景観と自然、人のぬくもり」を磨くことこそ、私たちが優先的に取り組むべきテーマなのではないでしょうか。

「課題先進地」としての田舎に熱視線

中部電力パワーグリッド㈱ 支障木伐採出発式(大田町)

しきしまには、地域の課題解決に取り組んでいる以下のような企業さんが多数いらっしゃいます。

人口減少、高齢化に伴う課題の多くは、いずれ都市部においても深刻化する課題。都市部の企業さんが田舎での課題解決に関心を寄せるのは、社会貢献だけでなく、将来のビジネスも展望されているからです。

また、以下のような労働組合や森林ボランティアなどにも応援いただいています。

  • トヨタ紡織労働組合
  • とよた旭高原山楽会
  • とよた山笑会
  • 令和木楽会
  • とよた森仙組
  • (一社)モビリティ・ビレッジ

「しきしまの家」プロジェクトでは、これまで、個別の取り組みとなっていたこれらの企業や団体の取り組みを、「しきしまの家」をプラットホームとして交流や連携いただくことで、効果的な地域課題解決や新たな取り組みへの発展を期待しています。

選択できることの幸せ

不幸の源泉は「選択できない」ことにあると言われます。都市と山村を内包する豊田市は、便利な都市の暮らしも、自然と人の温もりにあふれた田舎の暮らしも、いずれもライフステージや価値観で「選択できる」場所になりつつあるのだと思います。

価値観の多様化、テレワークの普及やコロナ禍を背景にした「過密」の回避といった社会環境の変化もあるかもしれませんが、課題よりも魅力が勝る地域づくりを進めることで、田舎は、「持続的低密度社会」として人々に求められるのではないでしょうか。

私たちは、「しきしまの家」プロジェクトを通じて、ふるさとを守るだけではなく、田舎暮らしを選択する人々を、田舎と関わって暮らしたい人々を温かく迎え入れる地域を目指したいと思います。

私たちは、クラウドファンディングに挑戦しています。ご支援、拡散をお願いします。

困りごとの相談窓口&老若男女誰でも集える居場所 「しきしまの家」をつくりたい

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