移住者が増えれば「人口減少・高齢化」は避けることができるの?

結論から言うと、できません。

2010年〜2020年の10年間における敷島自治区の移住者受け入れ数は、当初目標の実に2倍に及びます。しかし、それでも「人口減少・高齢化」を止められる状況には至っていないのです。

私たちは、これまで追い求めてきた「勝ち残る」という発想が間違っていたと考えています。人口減少・高齢化を「避けられないもの」として受け止めることから始まる未来への挑戦について、本稿でお伝えします。

総務大臣賞受賞への道のり

2020年11月27日、敷島自治区は、全国の過疎地域における自立活性化の優良事例として、最高賞の総務大臣賞を受賞しました。(→詳細はこちらの記事を参照

「しきしま♡ときめきプラン」に沿って実施された様々な活動が功を奏し、過去10年間の移住者数は、当初目標の2倍である40世帯・98人まで増加。また、民宿、菓子工房、助産院などのスモールビジネス起業や、有機農家の新規就農などが、好循環を生んだことが高く評価されたのです。

それまで排他的だった敷島自治区は、「しきしま♡ときめきプラン」の策定を契機に、地域を開き、都市とつながり、移住者を積極的に受け入れる地域に変わりました。

空き家見学と、先輩移住者の経験を聞く「暮らしの参観日」。空き家情報バンクの登録に向けた取り組みである「空き家片付け大作戦」

社員の福利厚生や、古民家カフェとしての活用を計画する、都市部企業の誘致。このような先進的な取り組みが、住民主体で繰り広げられました。

しかし、このような取り組みをもってしても、9集落のうち7集落はわずか10年後に「限界集落」になるという衝撃的な見通しが、「しきしま♡ときめきプラン2020」策定に向けたアンケート調査から明らかになります。移住者受け入れは、地域の持続化のための必要条件ですが、人口減少、高齢化を止めることはできないということです。

「人口減少・高齢化」を受け止める

日本の人口構造を250年にわたって俯瞰してみると、20世紀を移行期として、「子どもが多く高齢者の少ない19世紀型」と「子どもが少なく高齢者の多い21世紀型」の違いが明確に見て取れます。

健康経営の推進について – 経済産業省

これは、公衆衛生や医療技術の進歩と密接に関わると言われます。19世紀型は、乳児死亡率が高かったため多産傾向で子供が多く、平均寿命が短いため高齢者が少なくなります。一方、21世紀型は、乳児死亡率は0%に近く少子化傾向となり、平均寿命が延び「人生100年時代」となれば高齢者の比率が多くなるのは必然です。

「21世紀型」は、私たちが望んでそうなるように努めてきた結果であり、人口減少とともに少子・高齢化の人口構造を受け入れるしかないのです。そして、その上で、いかに幸せな生涯を送り、次の世代に幸せな暮らしを引き継いでいくかを考え、実践していくかということなのだと思います。

重点プロジェクトがいま、形に

プラン2020」は、移住者の受け入れに努めながらも、人口減少、高齢化は止められないものとして受け止めています。その上で、自分たちが不安なく生涯を送り、次世代が幸せに暮らせる地域を残すための、下記「3つの重点プロジェクト」を定めました。

  • 支え合い社会創造プロジェクト
    └ 住民が支え合う共同体中心の社会を取り戻し、都市とつながる
  • 農地保全プロジェクト
    └ 住民の誇りであり、移住者を受け入れるために不可欠な「美しい農村景観」を守る
  • 未来への構造改革プロジェクト
    └ 人口減少や価値観の変化に対応した組織や行事に見直す

「プラン2020」策定と同時に、世界はコロナ禍に飲み込まれ、今なお終息の見通しはありません。そんな中でもプロジェクトは着実に進められてきました。会議、アンケートはもとより、集落単位の住民説明会は18回にも及びました。

未来を拓く3つのプロジェクトが、「しきしまの家」プロジェクトとしていま、形になろうとしています。

私たちは、クラウドファンディングに挑戦しています。ご支援、拡散をお願いします。

困りごとの相談窓口&老若男女誰でも集える居場所 「しきしまの家」をつくりたい

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